
愛犬が余命を告げられたとき、言葉にできないほどの悲しみと不安が押し寄せるものです。それでも、限られた時間は、愛犬と飼い主にとってかけがえのない大切な日々でもあります。
このページでは、愛犬の余命を知らされたときに飼い主としてできることや、看取り・火葬・供養に向けた準備について、段階を追って解説します。これからご紹介する内容が、愛犬と穏やかに過ごすためのヒントになれば幸いです。
愛犬の余命宣告を受けたときの心構え
かけがえのない家族の一員である愛犬が「余命宣告」を受けたとき、計り知れないほどのショックを受けることでしょう。胸が張り裂けるような悲しみと、信じたくないという気持ちで、何も手につかなくなってしまうのも無理はありません。
しかし、残された時間は、愛犬にとっても飼い主にとっても、かけがえのない大切な時間です。後悔なく、穏やかな気持ちで最後の時を迎えるために、まずは、愛犬が穏やかに過ごせるようにサポートすることを第一に考えましょう。
余命宣告は「終わり」を示すものではなく、「今この瞬間をどう大切に生きるか」を見つめ直す機会でもあります。愛犬のために、できる限りのことをしてあげられるよう、心の準備と環境を整えていくことが大切です。
愛犬が余命宣告を受けた時にまず考えるべきこと

心の整理がつかないまま日々が過ぎていく中で、「愛犬ために自分にできることは何だろう」と思い悩む方も多いのではないでしょうか。それでも、少しずつ愛犬と向き合いながら、これからの時間をどう過ごすかを考えることが、飼い主としてできる大切な一歩になります。
そしてもうひとつ、「もっとこうしてあげればよかった」と自分自身が後悔しないためにも、愛犬に対してできる限りのケアをおこなうとともに、自身の気持ちの整理、そして葬儀に向けた備えも、少しずつ進めていきましょう。
獣医師と今後の治療方針について相談する

まずは、かかりつけの獣医師としっかり話し合い、これからどのような治療やケアをしていくのか決めていきます。
病気の進行具合や、これから愛犬の体にどんな変化が起こるのか、どのくらいの時間が残されているのか、いわゆる「予後(よご)」と呼ばれる見通しを理解したうえで、愛犬にとっていちばん穏やかに過ごせる方法を一緒に考えていきましょう。
たとえば、命を少しでも長く保つための治療を続けるのか、あるいは痛みや苦しみをやわらげる「緩和ケア」を中心に過ごすのか、などを獣医師と話し合います。
分からないことや心配なことがあれば、一人で抱え込まず、獣医師に相談してください。信頼できる専門家のアドバイスは、愛犬の心と体を守るだけでなく、飼い主自身の心の支えにもなってくれるはずです。
犬のQOL(生活の質)を最優先に考える

余命宣告を受けたあとの時間は、ただ「長く生きること」よりも、「どう生きるか」が大切になります。愛犬にとっての幸せとは、安心できる場所で、大好きな家族と穏やかに過ごすことではないでしょうか。
そのためにも、愛犬のQOL(Quality of Life=生活の質)をできる限り尊重してあげましょう。たとえば、日々の暮らしの中で、次のような工夫や配慮がQOLの向上につながります。
- 好きな食べ物を与える
- 負担の少ない柔らかいベッドを用意する
- 体力に合わせて外の空気を吸わせてあげる
- 嫌がる治療は無理に続けない
このような工夫で、愛犬に安心感や心地よさを与えることができるでしょう。
また、つらい治療を無理に続けるよりも、「愛犬らしく生きること」をそっと支えてあげる選択も、愛情のかたちのひとつです。表情やしぐさをよく観察しながら、今この瞬間、何を求めているのかに、そっと心を寄せてみてはいかがでしょうか。
家族みんなで大切な時間を過ごす

限られた余命の中で、何よりも重要なのは「家族で一緒に過ごす時間」です。特別なことをしなくても、いつも通りの時間を共にすることが、愛犬にとっては何よりの安心となります。
たとえば、
- ゆっくり散歩に出かける
- 一緒にお気に入りの場所で過ごす
- やさしく撫でてあげる
- 写真や動画を撮って記録に残す
日々の中の「ささやかな幸せ」を大切にしながら、穏やかな時間を重ねていくことが、愛犬にとって何よりの安心につながります。飼い主のそばで過ごすあたたかなひとときは、愛犬の心にも静かに残っていくはずです。
犬の看取りに向けた準備

愛犬の様子に変化が見られ、「そろそろ最後のときが近いのかもしれない」と感じたとき、どのように見送るかをあらかじめ考えておくことも、飼い主としての大切な準備のひとつです。
自宅で最後を迎えさせてあげるのか、それとも病院や老犬ホームなどのサポートを受けるのか、誰が立ち会うのか、どう見送るのか、こういったことを前もって話し合っておくことで、飼い主の心の整理ができるだけでなく、愛犬にとっても穏やかな時間を過ごせる環境を整えることができます。
つらくて目を背けたくなることもあるかもしれませんが、愛犬のためにできることを一つずつ考えていくことが、残された時間を悔いなく過ごすうえでの心の備えにもつながります。ここでは、愛犬の看取りに向けてできる具体的な準備について解説します。
看取る場所を考える(自宅・動物病院・老犬ホーム)

愛犬の最後の時をどこで迎えるかは、愛犬の状態や飼い主の希望によって異なります。
まず自宅で看取る場合は、愛犬が長年暮らしてきた慣れた場所で、家族に囲まれてゆったり過ごせます。特に環境の変化に敏感な愛犬には、自宅での看取りがおすすめです。いつもの場所で過ごすことで安心感を持って最後の時を迎えられるでしょう。ただ、お仕事などで家を空けることがある場合は、信頼できるお知り合いやペットシッターさんの協力を、あらかじめ検討しておくと安心です。
次に、容体が急変した場合に備えて医療対応が必要と判断されるときは、動物病院での看取りも選択肢の1つです。獣医師や看護師が痛みを和らげる工夫をしてくれるので、愛犬の苦しみを最小限に抑えられます。いつでも専門家がそばにいてくれるので、突然の変化にも対応してもらえる安心感があります。ただ、病院が家から遠いと、最後の瞬間に間に合わないことも考えられます。また、どうしても最後の時に立ち会うのが辛いという方は、専門家にお任せするのも一つの選択です。
また、高齢犬のケアに特化した老犬ホームやホスピスを利用する選択肢もあります。これらの施設では専門的なサポートを受けられるため、看取りに不安を感じるご家庭には心強い存在となります。多くの施設では24時間体制でお世話してくれて、具合が悪くなれば獣医師に診てもらえます。長い間のお世話で家族が疲れているときには、一時的に預けることでご家族も休息できるでしょう。
どの場所にもメリットと注意点があるため、獣医師の意見も参考にしながら、愛犬にとってもっとも穏やかに過ごせる環境を選ぶことが大切です。
家族で看取り方について話し合っておく

愛犬が最後の時間を迎えるにあたって、どのように見送るかを家族みんなで話し合っておくことは、とても大切な準備のひとつです。
- 誰がそのときに立ち会うのか
- どこで最後の時間を過ごさせてあげるのか
- どのようなかたちでお別れをしたいのか
こうした思いを前もって共有しておくことで、いざというときも気持ちを落ち着けて、愛犬としっかり向き合うことができます。
また、容体の急変は、夜間や休日など予想できないタイミングで訪れることもあります。かかりつけの動物病院の連絡先や、万が一のときに頼れる24時間対応の病院をあらかじめ調べておくだけでも、心の支えになります。
悲しみの中で冷静な判断をするのはとても難しいものですので、前もって話し合っておくことが、愛犬にとっても、ご家族にとっても、慌てずにそのときを迎えるための心の準備につながります。
ご家族自身のケアも忘れずにおこなう

愛犬の様子が気がかりな日々が続くと、ご家族の心や体にも知らず知らずのうちに疲れがたまってしまうことがあります。不安や悲しみを抱えながらお世話を続けることは、それだけで心に負担がかかるものです。
そんなときこそ、ご自身のケアを意識して過ごすことが大切です。しっかりと睡眠をとることや、栄養のある食事をとることはもちろん、つらい気持ちを誰かに話すことや、ペットロスに備えて情報を集めておいたりすることも、気持ちを落ち着ける手助けになります。
愛犬を想うあまり、自分のことを後回しにしてしまうこともあるかと思いますが、飼い主が心身ともに元気でいることは、愛犬にも安心感を与えるものです。
犬の葬儀・火葬に向けた事前準備

愛犬とのお別れが近づいてきたとき、深い悲しみの中で葬儀や火葬のことを考えるのは、とてもつらく、勇気のいることです。それでも、事前に情報を集めておくことで、気持ちが混乱しやすいときにも落ち着いて行動することができ、愛犬を丁寧に見送ることにもつながります。
火葬の方法や流れ、葬儀の有無、安置の仕方やお別れの時間の取り方など、知っておくべきポイントはいくつかあります。
ここでは、愛犬を見送るうえで知っておきたい基本的な事前準備について、わかりやすくご紹介していきます。
ペット火葬業者を調べておく

万が一のときに慌てないためにも、事前に信頼できるペット火葬業者を調べておきましょう。事前に「どのような点を確認しておくべきか」を把握し、自分たちの希望に合う業者を見つけておくことが、安心につながります。
地域によって対応している業者の数やサービス内容はさまざまですので、実際に依頼する前に以下のような点を確認しておくと安心です。
確認項目 | 内容の例 |
---|---|
対応エリア | 自宅までの送迎や出張火葬が可能かどうか |
火葬の種類 | 個別火葬/合同火葬の選択ができるかどうか |
立ち会いの可否 | 火葬に立ち会えるかどうか |
遺骨の返却方法 | 骨壷や返骨を受け取れるかどうか、選択できるかどうか |
料金体系 | 基本料金・オプション・追加費用が明示されているかどうか |
営業時間 | 夜間や休日にも対応しているかどうか |
評判・口コミ | 利用者の感想や信頼性を確認できるかどうか |
表で挙げたようなポイントをもとに、あらかじめいくつかの業者を比較しておくことで、いざというときにも迷いが少なく、スムーズに判断ができるようになります。手続きを急ぐあまり、本来希望していた形とは異なる見送り方になってしまうことを防ぐためにも、事前の準備はとても重要です。
何より、落ち着いた心で愛犬と向き合う時間を確保することが、ご家族にとっても大切な心の支えとなります。少しずつで構いませんので、「備え」としての情報収集をできるところから考えてみるのもよいかと思います。
なお、前述したようにペット火葬には個別火葬と合同火葬があります。
個別火葬は愛犬だけを個別に火葬する方法で、ご家族が立ち会ったり、お骨を持ち帰って、そばに置いておくこともできます。対して合同火葬はほかの動物と一緒に火葬するため、お骨を持ち帰ることができません。
個別火葬と合同火葬の特徴や費用を詳しく知りたい方は、「愛犬の葬儀・火葬の流れ|手順や事前準備、必要な手続きを詳しく解説」をお読みください。
愛犬と別れたあとの供養方法

愛犬を見送ったあとは、深い悲しみや喪失感の中で日々を過ごすことになることが多いでしょう。無理に気持ちを切り替える必要はありませんが、少しずつ心と向き合えるようになったときには、「供養」というかたちで想いをそっと表すことで、気持ちがやわらぐこともあります。
供養には決まった形式があるわけではなく、ご家族の想いや暮らしに合った方法を選ぶことが大切です。どのようなかたちであっても、愛犬を想う気持ちが込められていれば、それが何よりの供養になります。
ここでは、愛犬との別れのあとにできる3つの供養方法をご紹介します。
ご自宅での供養
ご自宅での供養は、火葬後に返骨された遺骨を骨壺に納め、ご自宅の一角に「ペット用の仏壇」や「思い出コーナー」をつくって手を合わせるというかたちが一般的です。お花を飾ったり、写真を立てたり、生前好きだったおやつやお水をそっと供えてあげたりと、自由なスタイルで供養できます。
日々の生活の中で愛犬に声をかけたり、心の中で話しかけたりできる場所があることで、飼い主の気持ちが穏やかに整っていくこともあります。
ペット霊園での永代供養
ご自宅では供養が難しい方や、より正式な形で手厚く供養をしたいと考える方には、ペット霊園での「永代供養」という選択肢もあります。永代供養とは、飼い主に代わって霊園や寺院が責任をもって供養を続けてくれる方法です。納骨堂や共同墓地など、さまざまなスタイルがあり、お参りも可能です。
ご家族が高齢で今後の管理に不安がある場合や、引っ越しの予定がある方などによく選ばれています。
メモリアルアイテムの作成
近年では、愛犬との思い出をかたちに残す「メモリアルアイテム」を作成する方も増えています。
たとえば、次のようなアイテムがあります。
- 遺骨や被毛を納めたキーホルダーやアクセサリー
- 写真をプリントしたフォトフレームやパネル
- 名前入りのキャンドルやぬいぐるみ
- メモリアルプレートや手元供養用のミニ骨壺 など
日常の中でそっと思い出に触れられるこうしたアイテムは、心の支えとしてそばに置いておきたいと感じる方に選ばれています。必ずしも形に残す必要はありませんが、「自分らしい供養のかたち」として選んでみるのもひとつの方法です。
まとめ

愛犬の余命を知らされることは、とてもつらく、すぐには受け入れがたいものです。ですが、その限られた時間をどう過ごすか考えることは、愛犬のため、そしてご自身の心を整えるためにも大切なことです。
治療の方針に悩みながらも、できるだけ苦しみを減らしてあげたいと願う気持ちや、特別なことをしなくても、ただそばにいて、名前を呼び、やさしく撫でてあげることなど、そのすべてが愛犬にとってかけがえのない贈り物になります。
また、ペットの葬儀や火葬、供養について前もって知っておくことで、気持ちの整理がつきやすくなり、いざというときにも落ち着いて行動しやすくなります。ご自身の気持ちも大切にしながら、やさしく寄り添う時間を重ねていただければと思います。
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